前提となる数字
比較しやすいように、次の設定で計算します。金額は説明のための例であり、実際の平均額を示すものではありません。
- Aさんの手取り: 月30万円
- Bさんの手取り: 月20万円
- ふたりの生活費: 月22万円(家賃12万円 + 光熱費・食費・日用品10万円)
見るべきなのは「いくら払うか」だけではありません。払ったあとに手元にいくら残るかまで見ると、その分け方が現実的かどうかが判断できます。
4つの方式と、手元に残る額
| 方式 | Aの負担 | Bの負担 | Aの手元 | Bの手元 |
|---|---|---|---|---|
| 完全折半 | 11.0万円 | 11.0万円 | 19.0万円 | 9.0万円 |
| 収入比(3:2) | 13.2万円 | 8.8万円 | 16.8万円 | 11.2万円 |
| 項目別(Aが家賃) | 12.0万円 | 10.0万円 | 18.0万円 | 10.0万円 |
| 定額拠出 | 13.0万円 | 9.0万円 | 17.0万円 | 11.0万円 |
完全折半だけ、Bさんの手元が9万円まで落ちます。金額としては公平でも、生活の自由度という意味では対等になっていないことが数字で見えます。収入比にすると11.2万円まで戻り、AさんとBさんの手元の比率は、もとの収入の比率とだいたい同じになります。
それぞれの考え方と注意点
完全折半
すべての支出を半分ずつ負担します。ルールが単純で、どちらかが得をしているのではという疑いが生まれにくいのが利点です。収入が近いふたりには、これがいちばん揉めません。
収入差が大きいときは、上の表のとおり生活の余裕に差が出ます。また、片方が転職や休職で収入が変わったときに、そのまま続けると急に苦しくなる点にも注意が要ります。
収入比で分ける
手取りの比率に応じて負担を決めます。30万円と20万円なら3:2です。手元に残る割合がそろうので、負担感としてはいちばん公平に近づきます。
一方で、お互いの手取りを開示する必要があります。付き合いの段階によっては、ここが心理的なハードルになります。また、ボーナスや副収入をどう扱うか、賞与月だけ比率を変えるのかといった判断が増えるのも、運用上の負担になりえます。
項目別に担当を決める
「家賃はAさん、食費と光熱費はBさん」のように、費目ごとに支払う人を決めます。引き落とし口座をそれぞれに設定してしまえば、毎月の作業がほぼゼロになるのが最大の利点です。
注意点は、金額が変動する費目を持ったほうが不利になりやすいことです。上の例だとBさんが食費と光熱費を持っていますが、真夏や真冬は光熱費が上がり、来客が続けば食費も膨らみます。固定費を持つAさんの負担は変わらないのに、Bさんの負担だけが月によって増えます。変動費側を持つ人に、あらかじめ少し余裕を持たせておくと公平さを保ちやすくなります。
定額を出し合う(共同財布・共同口座)
毎月決まった額をふたりで出し合い、そこから生活費を払います。金額は収入差を踏まえて話し合いで決めます。いくら出すかを一度決めれば、あとは考えなくてよくなるのが利点です。
気をつけたいのは、出し合った額と実際の支出がずれたときの扱いです。余ったら翌月に繰り越すのか、貯金に回すのか。足りなくなったらどちらが補填するのか。ここを決めていないと、結局その場その場の立替が発生して、元の曖昧さに戻ります。
決め方の手順
いきなり方式を選ぶより、次の順に話すとまとまりやすくなります。
- ふたりの支出に何を含めるかを先に決める。 家賃・光熱費・食費・日用品まではほぼ共通です。迷うのは外食、家具家電、日用品のうち片方しか使わないもの、友人との交際費あたりです。ここを決めないまま比率の話をすると、話が噛み合いません。
- ひと月の合計額をざっくり出す。 正確でなくてかまいません。3か月ほど記録してみると実態がわかります。
- 負担後に手元に残る額を計算する。 比率だけを見て決めず、必ず残る額まで出します。片方が生活できない配分になっていないかの確認です。
- 方式を選び、期限を切る。 「まず3か月やってみて、そこで見直す」と決めておくと、選ぶ側の心理的な負担が下がります。合わなければ変えればいい、という前提があると話しやすくなります。
比率よりも、決め方の納得感が効きます
どの方式にも欠点はあり、完全に公平な分け方は存在しません。実際に不満が出るのは、比率そのものより「いつのまにかそうなっていた」「相談なく決まった」と感じたときです。数字を一緒に見ながら決めた、という事実のほうが長く効きます。
見直すタイミング
一度決めた配分は、次のような変化があったときに必ず見直します。
- どちらかの収入が変わったとき(転職、昇給、休職、働き方の変更)
- 引っ越して家賃が変わったとき
- 光熱費が季節で大きく動いて、片方の負担が続けて増えているとき
- 結婚や将来の貯蓄など、共同の目標ができたとき
見直しを「不満があるから言い出す」ものにしないために、半年ごとなどあらかじめ時期を決めておくのがおすすめです。何もなければ「このままで」と確認するだけで終わります。
どの方式でも、記録は必要になる
収入比にしても項目別にしても、日々の買い物ではどちらかが先に払う場面が必ず出てきます。決めた比率どおりに負担できているかは、実際にいくら払ったかを記録していないと確認できません。
特に収入比のように折半でない配分にすると、暗算で精算額を出すのは難しくなります。記録の残し方については同棲の立替精算、5つのやり方を比べるで、スプレッドシートを使う場合の注意点はスプレッドシートの同棲家計簿が続かない理由で扱っています。
決めた分担を、確かめられる「とんとん」
とんとんは、同棲カップルのための割り勘・立替精算アプリです。支払ったときに記録するだけで、どちらがいくら多く払っているかを自動で計算します。記録はふたりで共有されるので、決めた分担どおりになっているかをお互いに確認できます。
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